友達 孤独は彼らの餌

阿部公房の戯曲の1つ「友達」を読んだ。
本命は「棒になった男」だったのだが、収録されている文庫の順番の都合で「友達」が先になっていたので読了した。

一幕の前に譜面が載っていた。
”友達のブルース”という名前の曲だった。
その曲はまるで首飾りが世間の完成形で、ちぎれて飛び散った首飾りのパーツを孤独、首飾りの紐の部分を物語に登場する異様な家族を指しているようだった。

パーツ(孤独な人)は紐(異様な家族)を通さなければ首飾りになれない(世間に溶け込めない)

というような感じだ。
その異様な家族が首飾りで言うところの紐の部分なのは、恋愛関係においてパートナーに金銭面を依存する”ヒモ”からきているんだと思った。

この家族は主人公の男を孤独と決めつけ、生活に入り込み男を苦しめる。
家族は九人いて健康体でありながら仕事をせず、孤独な人の生活に「孤独は良くない」「一人でいたいなんて病気だ!」などと騒ぎ立て寄生していくのだ。

主人公の男は周りに助けを求めるが、救われないのは世間的に見て孤独が悪でそこに寄り添う家族の隣人愛がまるで正義のように映るからなのだろう。

世間の孤独に対するネガティブなイメージが異様な家族の行動を正当化させているようだった。

文体は変わりますが、私は主人公の男に寄生されたまま終わってほしくないと思いながら読み進めました。
短い話なので図書館で読んでみてもいいかもしれません。






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